1944年11月から、1945年の終戦間際までの間に、100回以上にわたって執拗に繰り返された「東京大空襲」。
最大の被害をもたらした3月10日には、1日で10万人の命が失われた。
しかし、半年以上にわたって繰り返された空襲被害の全貌は知られていない。
3月10日以外を記録した映像資料がほとんどなかったためだ。
しかし今回、NHKは、陸軍参謀本部の指示で撮影された2万枚のネガを入手。
その中に東京大空襲を鮮明に記録した写真が580枚余り発見されたのだ。
燃え上がる銀座の街。
消火活動に駆け回り、煙の中を逃げまどうもんぺ姿の女性たち。
がれきの片付けに動員され、幼い顔に必死の表情を浮かべて作業にあたる中学生。
一面の焼け野原に置かれた棺。
それを囲み、泥まみれ姿のまま葬式をあげる家族の姿。
膨大な量の写真、そして新たにアメリカ空軍基地で見つかった当時の資料から、アメリカがいかに緻密に計画性をもって無差別爆撃を繰り返していたのか、明らかになりつつある。
半年余り続いた東京大空襲で市民たちはどういう被害を受けていたのか、東京の街はどう焼け尽くされていったのか、これまで知られてこなかった東京大空襲の全貌を未公開写真と関係者の証言を交えて描き出す。